ISO イメージファイルからライブ USB メモリの作成 (UNetbootin を使用)
【概要】この記事では、UNetbootinを使用してLinuxディストリビューションのISOイメージファイルから起動可能なライブUSBメモリを作成する方法を解説する。ただし、UNetbootinはUbuntu 24.04では公式サポートされておらず、代替ツールの使用を推奨する。
【目次】
この記事では、LinuxディストリビューションのISOイメージファイルから、起動可能な「ライブUSBメモリ」を作成する方法を解説する。特に、クロスプラットフォーム対応のツール「UNetbootin」の使用手順に焦点を当てる。
【重要】Ubuntu 24.04 での注意点: 現在、UNetbootinはUbuntu 24.04 LTSでは公式にサポートされておらず、動作しない、または不安定になる可能性がある。Ubuntu 24.04向けには、Ubuntu公式の「Startup Disk Creator (usb-creator-gtk)」、または「Ventoy」、「BalenaEtcher」などのツールの利用が推奨される。この記事はUNetbootinの使用手順を説明するものであるが、Ubuntu 24.04環境では代替ツールの利用を強く推奨する。
作成のポイント (UNetbootinを使用する場合):
- ツール: UNetbootin (Windows、macOS、Linux で利用可能であるが、最新OSでの動作保証はない)
- 対象OS: Ubuntuを含む多くのLinuxディストリビューションに対応(ただし、ディストリビューションやバージョンとの相性がある)
- USBメモリ: ISOファイルサイズに応じて適切なファイルシステムでフォーマット(4GB未満のISO:FAT32、4GB以上のISO:exFATまたはNTFS対応ツールの使用を推奨)
- 注意: USBメモリ内のデータはすべて消去される。必ず事前にバックアップを取得すること。
ライブUSBメモリとは、そのUSBメモリをパソコンに接続して起動することで、オペレーティングシステムを直接起動できるようにしたものである。内蔵ハードディスクへのインストールが不要で、OSの試用やトラブルシューティングなどにすぐに利用可能である。
UNetbootinでライブUSBメモリを作成する際には、主に2つの動作モードを選択できる。
- Live モード: USBメモリから起動したOS上で行った変更(設定変更、ファイル作成など)は、再起動するとすべて消去される。OSの試用や一時的な利用に適している。
- Persistent モード (永続モード): 指定した容量の範囲内で、OS上で行った変更がUSBメモリ上に保存され、次回の起動時にも引き継がれる。カスタマイズした環境を持ち運びたい場合に便利である。このモードを利用するかどうか、また保存領域のサイズは、UNetbootinでの作成時に設定する。(注意: この機能の安定性は、ディストリビューションやUNetbootinのバージョンによって大きく異なる。)
このライブUSBメモリを使用して、パソコンの内蔵ディスクへのLinuxのインストールも実行可能である場合がある。(ディストリビューションや作成方法による)
* (補足) Fedoraディストリビューションに特化したライブUSB作成ツールとして、Fedora公式の「Fedora Media Writer」もある。詳細はFedora公式サイト(https://getfedora.org/)を参照すること。
UNetbootinのダウンロードとインストール手順
- 公式サイトへのアクセス: Webブラウザで、UNetbootinの公式サイトにアクセスする。
- バージョンの選択: サイト上で、現在使用しているPCのオペレーティングシステム(Windows、macOS、Linux)に対応するバージョンを選択する。
(注意: ここで選択するのは、UNetbootinを実行するPCのOSである。作成したいライブUSBのLinuxディストリビューションの種類ではない。)
- ダウンロード: 選択したOS用のファイルをダウンロードする。
(例: Windows版であれば、通常は実行形式ファイル `.exe` がダウンロードされる。)
ライブUSBの具体的な作成手順 (UNetbootin)
【作業開始前の重要な確認事項】
- USBメモリ内のすべてのデータが消去されることを理解し、必要なバックアップを完了していることを確認すること。
- 作成対象として正しいUSBメモリを選択していることを、作業の各段階で必ず確認すること。誤って別のドライブ(外付けHDD等)を選択すると、そのドライブのデータがすべて失われる。
- 作成プロセス中は、USBメモリを取り外したり、PCの電源を切ったりしないこと。データ破損やUSBメモリの故障の原因となる。
- 事前準備
- USBメモリの用意: ライブUSBとして使用するUSBメモリを用意する。十分な容量があることを確認すること (通常、OSイメージのサイズ + 永続化領域(設定する場合) +α が必要)。
- フォーマット: 使用するISOイメージのサイズに応じて、USBメモリを適切なファイルシステムでフォーマットする。
- 注意: フォーマットするとUSBメモリ内のデータはすべて消去される。必要なデータは必ず事前にバックアップすること。
- 重要 (FAT32の4GB制限について): FAT32ファイルシステムは、単一で4GBを超えるファイルを扱えない。Ubuntu 24.04 を含む近年の多くのLinux ISOイメージはこのサイズを超えるため、FAT32フォーマットのUSBメモリではUNetbootinでの作成が失敗する。4GB超のISOを使用する場合は、VentoyやBalenaEtcherといったexFATやNTFSに対応し、大容量ファイルを扱えるツールの利用を強く推奨する。
- ISOイメージのダウンロード: 作成したいLinuxディストリビューションの公式サイトなどから、ISOイメージファイルを事前にダウンロードしておく。
- UNetbootinの起動
* Windows環境でのUNetbootin起動手順:
ダウンロードした `.exe` ファイルを実行する。管理者権限を要求される場合がある。
* macOS環境でのUNetbootin起動手順:
ダウンロードした `.dmg` ファイルを開き、中のアプリケーションを実行する。
* Linux環境でのUNetbootin起動手順 (Ubuntu 24.04非推奨):
ダウンロードしたファイル (例: `unetbootin-linux64-*.bin`) に実行権限を付与する (`chmod +x unetbootin-linux64-*.bin`)。
ターミナルから`sudo`を使用して実行する。
# 例: ターミナルでダウンロードしたディレクトリに移動し実行 cd ~/Downloads # ダウンロードしたディレクトリに移動 sudo ./unetbootin-linux64-*.bin
(※) Linux環境、特にUbuntu 24.04での注意: UNetbootinはUbuntu 24.04では公式にサポートされておらず、依存ライブラリの問題などで起動しない、あるいは正常に動作しない可能性がある。起動時にライブラリ不足(例: `libicu` 関連)のエラーが出る場合は、`apt search <ライブラリ名の一部>` でパッケージを探し `sudo apt install <パッケージ名>` でインストールを試みることもできるが、根本的な解決にならない場合がある。Ubuntu 24.04では、前述の通り、Ubuntu Startup Disk Creator、Ventoy、BalenaEtcherなどの代替ツールの使用を強く推奨する。
- UNetbootinでの設定: (a) ディストリビューション/ISOイメージの選択
UNetbootinが起動したら、以下の項目を設定する。(起動できた場合)
- 方法1 (リストから選択): UNetbootinの上部で「ディストリビューション」を選択し、プルダウンリストから希望のLinuxディストリビューションとバージョンを選ぶと、UNetbootinが自動でISOファイルをダウンロードする。注意:UNetbootinのダウンロードリストは更新が停滞しており、最新バージョンのディストリビューションには対応していない。事前にISOファイルをダウンロードする方法(方法2)を推奨する。
- 方法2 (手持ちのISOを指定・推奨): 事前にダウンロードしておいたISOイメージファイルを使用する場合は、「ディスクイメージ」ラジオボタンを選択し、「ISO」が選択されていることを確認後、「...」ボタンをクリックして、ダウンロード済みのISOファイルを指定する。(注意:4GB超のISOではFAT32フォーマットのUSBメモリでは失敗する)
- UNetbootinでの設定: (b) 永続的保存領域の設定 (オプション)
- Persistentモードを使用したい場合、「再起動してもファイルを維持するために使用する領域」の入力欄に、保存領域として確保したいサイズをMB単位で指定する (例: 1024 で 1GB)。Liveモードで良い場合は「0」のままにする。
- (注意: この機能の安定性は、ディストリビューションやUNetbootinのバージョン、USBメモリとの相性に大きく依存し、期待通りに動作しないことがある。)
- UNetbootinでの設定: (c) 対象USBドライブの選択
- 「タイプ」が「USBドライブ」になっていることを確認する。
- 「ドライブ」のプルダウンメニューから、ライブUSBを作成する 正しいUSBメモリ を選択する。間違ったドライブを選択すると、そのドライブのデータが消去されてしまうため、細心の注意を払うこと。 (PCに複数のUSBデバイスが接続されている場合は特に注意が必要である。)
- 作成プロセスの開始と完了: (d) 設定確認と開始
上記(a)〜(c)の設定内容をよく確認し、問題がなければ「OK」ボタンをクリックする。作成プロセスが開始される。
- 作成プロセスの開始と完了: (e) 待機
ファイルのコピーやブートローダーの設定が行われる。完了まで数分〜数十分かかる場合がある。
- 作成プロセスの開始と完了: (f) 完了
「インストールが完了しました。」(または類似のメッセージ) が表示されたら、「終了」をクリックする。これでブート可能なライブUSBメモリの作成プロセスは完了である。USBメモリを安全に取り外すこと。
注意:完了表示が出ても、実際に起動できるかは保証されない。必ず次のステップで起動確認を行うこと。
- ライブUSBからの起動確認 (必須)
作成したライブUSBメモリが正しく機能するかを確認するには、実際にPCをそのUSBメモリから起動してみる必要がある。
- ライブUSBをPCに接続したまま、PCを再起動する。
- PC起動直後(メーカーロゴ表示中など)に、特定のキー (例: F2、F10、F12、Del、Escなど。PCメーカーや機種により異なる) を押して、BIOS/UEFI設定画面またはブートメニューを呼び出す。
- ブート順序 (Boot Order) の設定で、USBメモリを最優先の起動デバイスに設定する。
- 設定を保存して再起動すると、USBメモリからLinuxディストリビューションが起動するはずである。
(注意: Secure Bootが有効になっている場合、UNetbootinで作成したライブUSBは起動できないことがある。Ubuntu 24.04自体はSecure Bootに対応しているが、起動ツールの対応状況による。起動しない場合は一時的にSecure Bootを無効にする必要があるかもしれない。)
起動しない場合のトラブルシューティング
作成したライブUSBから起動できない場合、以下の点を確認すること。
- BIOS/UEFIのブート設定: USBメモリが起動デバイスとして認識されているか、ブート順序が正しく設定されているかを確認する。
- Secure Bootの設定: Secure Bootが有効な場合、一時的に無効化して起動を試みること。
- ISOファイルの整合性: ダウンロードしたISOファイルが破損していないか、公式サイトで提供されているチェックサム(SHA256等)で検証すること。
- USBメモリの状態: USBメモリ自体に物理的な問題がないか、別のUSBメモリで試すこと。
- 代替ツールの使用: UNetbootinで作成したライブUSBが起動しない場合、Ventoy、BalenaEtcher、またはUbuntu公式のStartup Disk Creatorなど、別のツールでの作成を試すこと。特にUbuntu 24.04では代替ツールの使用を推奨する。