Ubuntu を USB メモリにインストール

【警告】操作を誤るとPCの内蔵ディスク(WindowsやmacOSなど)のデータが完全に消去される危険性が非常に高いです。作業前には必ず重要なデータのバックアップを取得してください。この手順は、Linuxのパーティション操作やブートローダーについて十分な知識を持つ上級者向けです。

  1. 1. USBメモリの準備
    • 目的: Ubuntuシステム領域と、UEFIシステムで起動に必要なEFIシステムパーティション(ESP)をUSBメモリ上に作成します。
    • 手順:
      • 十分な容量(最低32GB推奨)を持つUSBメモリを用意します。
      • ライブ環境のディスクユーティリティ(例: GParted)などを使用し、USBメモリのパーティションテーブルを GPT(GUID Partition Table)形式で初期化します。(※最近のUEFIベースのPCとの互換性のため推奨されます)
      • USBメモリ上に少なくとも以下の2つのパーティションを作成します。
        • 第1パーティション (ESP):
          • サイズ: 512MB 程度(100MB~500MBでも可)
          • ファイルシステム: FAT32
          • フラグ: esp, boot (GPartedなどのツールで設定)
          • 用途: UEFIファームウェアが起動時に読み込むパーティションです。
        • 第2パーティション (Ubuntuシステム用):
          • サイズ: 残りの全領域
          • ファイルシステム: 未フォーマット(インストーラーでExt4に設定します)
          • マウントポイント: / (インストーラーで設定)
    • 注意: デバイス名(例: /dev/sdb)は環境によって異なります。以降の手順では,正しいデバイスを選択することが極めて重要です。内蔵ディスク(例: /dev/sda, /dev/nvme0n1)と混同しないよう注意してください。
  2. 2. Ubuntu 24.04 のライブ環境の起動
    • Ubuntu 24.04 LTS のインストールメディア(別途作成したライブUSBメモリまたはDVD)を使ってコンピュータを起動します。
    • 起動オプションが表示されたら「Try or Install Ubuntu」を選択し、デスクトップが表示されたら「Ubuntuを試す (Try Ubuntu)」を選択してライブセッションを開始します。
  3. 3. インストーラーの起動
    • ライブセッションのデスクトップ上にある「Install Ubuntu 24.04 LTS」アイコンをダブルクリックしてインストーラーを起動します。
  4. 4. インストール先の手動設定
    • インストーラーを進め、「インストールの種類 (Installation type)」の画面が表示されたら、「それ以外 (Something else)」(手動パーティショニング)を選択します。
    • 次の画面で、以下の設定を非常に慎重に行います。
      • Ubuntuシステム用パーティションの設定:
        • 準備したUSBメモリ上の第2パーティション(例: /dev/sdb2。デバイス名とサイズをよく確認)を選択します。
        • 「変更 (Change...)」ボタンをクリックし、以下を設定します。
          • 利用方法 (Use as):Ext4 ジャーナリングファイルシステム (Ext4 journaling file system)
          • パーティションをフォーマットする (Format the partition): チェックを入れる
          • マウントポイント (Mount point):/ (ルート)
        • 「OK」をクリックします。
      • 【重要】内蔵ディスクの保護:
        • リストに表示されているPCの内蔵ディスク(例: /dev/sda, /dev/nvme0n1 など)に属するすべてのパーティションについて、「利用方法」が「このパーティションを利用しない (Do not use the partition)」になっていることを必ず確認してください。誤って内蔵ディスクのパーティションに変更を加えると、データが完全に失われます。
      • Swap領域について:
        • Ubuntu 24.04 はデフォルトでSwapファイルを使用するため、通常は専用のSwapパーティションは不要です。特にUSBメモリへのインストールでは、書き込み回数を抑えUSBメモリの寿命を延ばす観点からもSwapファイルが推奨されます。
  5. 5. ブートローダーのインストール先指定
    • パーティション設定画面の下部にある「ブートローダをインストールするデバイス (Device for boot loader installation)」のドロップダウンメニューを確認します。
    • ここで、UbuntuをインストールするUSBメモリ本体(パーティション番号を含まないデバイス名。例: /dev/sdb, /dev/sdc)が選択されていることを確認します。ESPパーティション(例: /dev/sdb1)が存在する場合、インストーラーが自動的にそのデバイス(/dev/sdb)を候補にすることが多いですが、必ず手動で確認してください。
    • 【重要】絶対にPCの内蔵ディスク(例: /dev/sda, /dev/nvme0n1)を選択しないでください。 これを間違うと、PCの既存OS(Windowsなど)が起動しなくなる、あるいは起動メニューが意図せず変更される重大な問題が発生します。
    • すべての設定を確認したら、「インストール (Install Now)」をクリックします。変更内容の最終確認画面が表示されるので、内容(特にフォーマットされるパーティションとブートローダーのインストール先)を再度慎重に確認してから、「続ける (Continue)」をクリックしてインストールを開始します。