Ubuntu/Debian 環境構築: 初期設定とコア・アプリケーション一括インストール用スクリプト
データベース,人工知能,コンピュータビジョン,統計処理,プログラミングの学びや研究に役立つアプリケーションを「コア・アプリケーション類」としてリストアップしている.(例: Python, OpenCV, TensorFlow, Caffe, 開発ツールなど)
【サイト内の関連ページ】
- Ubuntu でのアプリケーション類の個別インストール手順などは,別ページ『[Ubuntu でのアプリケーションのインストール]』 »にまとめ
- Windows でのアプリケーション類のインストール手順などは,別ページ『[Windows でのアプリケーションのインストール]』 »にまとめている.
このページでは, Ubuntu, Debian の初期設定や,コア・アプリケーション類のインストールを自動で行うための,スクリプトファイルを公開している.その機能,使い方なども説明している.
スクリプトファイルへのリンク
スクリプトファイルへのリンク(ファイル名: linuxdo.sh)
スクリプトが動く OS および利用条件
利用条件
- 利用条件は,Creative Commons Attribution-NonCommercial (CC BY-NC) である.
- スクリプトの実行は自己責任でお願いします。実行前に内容を十分に確認し、ご自身の環境に与える影響を理解した上でご利用ください。予期せぬ問題が発生する可能性も考慮してください。
注意点
- セキュリティに関する注意: このスクリプトは `sudo` を使用して多くのシステム変更やソフトウェアインストールを行います。信頼できないソースからダウンロードしたスクリプトを実行することは非常に危険です。 必ずスクリプトの内容を理解し、信頼できる提供元からのものであることを確認した上で実行してください。また、インストールされる PPA やサードパーティリポジトリの信頼性についても考慮してください。
- 危険な可能性のあるコマンドに関する注意: このスクリプトはシステムログ (`/var/log/*`) や Bash履歴 (`~/.bash_history`) を削除する処理を含みます。デバッグや監査証跡が必要な環境では、これらの処理をコメントアウトするなどの対応を検討してください。また、`sudo chown -R $USER ${HOME}` コマンドはホームディレクトリ全体の所有権を変更するため、実行には注意が必要です。
- バージョン固定に関する注意: スクリプト内で指定されているソフトウェアのバージョン(CUDA, PyCharm, Bazel, Intel MKL等)は、記事作成時点のものであり、現在では古くなっている可能性があります。最新版を利用したい場合や、依存関係の問題が発生した場合は、スクリプト内のバージョン指定やURL、リポジトリ設定などを適宜修正してください。ただし、バージョン変更によりスクリプト全体の動作に影響が出る可能性もあります。
- Raspbian/RaspDesktop 混在に関する注記: スクリプト内には Raspbian (Raspberry Pi OS) 向けの記述も一部含まれていますが、本記事では Ubuntu/Debian での利用を前提として説明しています。
前準備
前準備として,Ubuntu もしくは Debian のインストールを終えておくこと.
Ubuntu や Debian のインストール手順は,別ページ『[Linux のインストール]』 »にまとめ.
このスクリプトの機能
このスクリプトは,次のことを行います.
- システム更新
パッケージリストを更新し、インストール済みパッケージを最新版にアップグレードします。
# パッケージリストの情報を更新 sudo apt update sudo apt -yV upgrade # 初回更新後、再起動を促します # sudo shutdown -r now
- [Debian] /etc/apt/sources.list の調整 (contrib リポジトリの追加)
Debian を使う場合に、ソフトウェアの選択肢を広げる `contrib` リポジトリを追加します。
deb http://ftp.jp.debian.org/debian/ buster main contrib deb http://ftp.jp.debian.org/debian buster-updates main contrib
- [Ubuntu] 追加の PPA リポジトリ登録
特定のソフトウェアの最新版などを取得するために、以下の PPA (Personal Package Archive) やリポジトリを追加します。
- ppa:libreoffice/ppa (LibreOffice の最新版を利用するため)
- ppa:kubuntu-ppa/backports (KDE関連ソフトウェアの最新版を利用するため)
- ppa:ubuntu-desktop/ubuntu-make (開発環境構築ツール Ubuntu Make を利用するため)
- 基本的な初期設定
システムの基本的な設定を行います。
- ダウンロード元ミラーサーバーを日本に設定
- NTPによる時刻合わせの有効化
- タイムゾーンを日本時間 (Asia/Tokyo) に設定
- ロケール設定と日本語入力環境 (fcitx-mozc) の整備
- ホームディレクトリ内のディレクトリ名 (例: 「ダウンロード」) を英語に変更
- 電源管理設定の調整 (アイドル時のスリープ無効化など)
- 運用保守用ツール (net-tools, pciutils) のインストール
- 標準でインストールされている一部アプリケーション (Thunderbird, LibreOffice の旧版など) の削除
- 「コア・アプリケーション類」のインストール
データベース、AI、CV、統計、プログラミング関連の主要なツールをインストールします。(例: Python関連ライブラリ、開発ツール、機械学習フレームワーク等)
注意:
- NVIDIA GPU 環境: NVIDIA 製グラフィックスボードが搭載された Ubuntu 18.04 環境では、CUDA 関連を含むすべてのコア・アプリケーションがインストールされるように調整されています。
- NVIDIA GPU 非搭載/Debian/その他 Ubuntu: 上記以外の環境では、NVIDIA 関連ソフトウェアの一部はインストールされません。
- ライセンス: インストールされる各アプリケーションのライセンス(利用条件)は異なります。利用者自身で各ソフトウェアのライセンスを確認してください。
補足情報
- ソースコードからのビルド: OpenCV, Dlib, OpenPose など一部のライブラリは、特定の機能(CUDA対応など)を有効にするため、ソースコードからビルドしています。ビルドには時間がかかり、環境によっては依存関係の解決が必要になる場合があります。
- Python 環境: このスクリプトは `sudo pip3 install` を使用して Python パッケージをシステムのグローバル環境にインストールします。推奨: Python パッケージは、システムのグローバル環境ではなく、プロジェクトごとに仮想環境 (venv) を作成して管理することを推奨します。インストール後に仮想環境へ移行することも検討してください。
スクリプトの使い方
使い方の要点: 初期設定とインストールを自動化し,楽にするためのものです. 複数回の再起動が必要: スクリプトは段階的に設定・インストールを行うため、途中で複数回のOS再起動が必要です。再起動後、再度同じスクリプトを実行してください。 途中で,Enter キーを押したり,パスワードを入れたりなどの操作が必要です. インストールされるソフトウェアの利用条件は各自で確認してください.
次の手順でダウンロードし実行する:
- スクリプトファイルをダウンロード(ファイル名は linuxdo.sh)
https://www.kkaneko.jp/tools/linux/linuxdo.sh
(ダウンロードコマンド例: `wget https://www.kkaneko.jp/tools/linux/linuxdo.sh`)
- 実行と再起動の繰り返し
実行は一般ユーザの権限で行います.
まず,スクリプトファイルをダウンロードしたディレクトリで、端末(ターミナル)を開き、「`bash linuxdo.sh`」を実行します.途中で `sudo` のパスワードを求められたときは入力してください.指示が出たときは従ってください.
スクリプトの処理が進むと、再起動を促すメッセージが表示されます。メッセージに従いOSを再起動してください.再起動が終わったら、**再度同じディレクトリで「`bash linuxdo.sh`」を実行します.**
以上,「bash linuxdo.sh」の実行と再起動を **合計4回**繰り返します.(スクリプトは内部でステップを管理しており、完了した処理はスキップされます。)
エラー発生時のヒント: スクリプト実行中にエラーが発生した場合、端末に表示されるエラーメッセージを確認してください。特に `apt` や `pip`, `make` などのコマンドのエラーが参考になります。依存関係の問題やネットワーク接続の問題、リポジトリやURLの変更などが原因である可能性があります。