LaTeX入門ガイド
【概要】LaTeXは、コマンドを用いて文書の論理構造を記述し、組版を自動生成するシステムである。数式や表の美しい表現、長文での一貫した体裁の保持、目次や参照の自動生成といった機能を提供する。文書クラスによって用途に応じた体裁を実現する。
【目次】
はじめに
LaTeX(ラテック)は、論文や技術文書を作成するための組版システムである。ワープロソフトとは異なり、文書中にコマンドを埋め込んで書式を指定するという特徴がある。
LaTeXの特徴
- 数式や表を美しく表現できる
 - 長文でも一貫した体裁を保持できる
 - 目次や参照を自動生成できる
 - 学術論文の標準フォーマットとして採用されている
 
基本的な文書作成の流れ
- エディタでLaTeXコマンドを使用して文書を作成する
 - コンパイルを実行して文書を生成する
 - プレビューで確認し、必要に応じて修正する
 
文書の基本構造
\documentclass{jarticle}  % 日本語文書用のクラスを指定
\begin{document}
    ここに本文を書く。
    LaTeXでは自動的に改行される。
    空行で段落を区切る。
\end{document}
主要な文書クラス
- jarticle - 論文・レポート
 - jbook - 本・長文文書
 - jreport - レポート
 
文書の整形
フォントサイズの指定
{\large 大きめの文字}
{\small 小さめの文字}
主なサイズコマンドは以下のとおりである。
- \tiny - 最小サイズ
 - \normalsize - 標準サイズ
 - \Large - 大きめ
 - \Huge - 最大サイズ
 
書体の指定
- \mc - 明朝体
 - \gt - ゴシック体
 - \bf - 太字
 - \it - イタリック体
 
文書の構造化
見出しの作成
\section{章の見出し}
\subsection{節の見出し}
\subsubsection{小節の見出し}
箇条書き
\begin{itemize}
\item 項目1
\item 項目2
\end{itemize}
\begin{enumerate}
\item 番号付き項目1
\item 番号付き項目2
\end{enumerate}
表の作成
\begin{tabular}{|c|l|r|}  % 中央揃え|左揃え|右揃え
\hline
項目 & 内容 & 値 \\ \hline
A & データ1 & 100 \\ \hline
B & データ2 & 200 \\ \hline
\end{tabular}
図表の挿入
図の挿入
プリアンブル部分でgraphicxパッケージを読み込む。
\usepackage{graphicx}
本文中で図を挿入する。
\begin{figure}[h]
 \centering
 \includegraphics[width=0.8\linewidth]{図のファイル名}
 \caption{図の説明}
 \label{fig:label}
\end{figure}
表の挿入
\begin{table}[h]
 \centering
 \caption{表の説明}
 \label{tab:label}
 \begin{tabular}{ccc}
   ... 表の内容 ...
 \end{tabular}
\end{table}
グラフ作成(gnuplot)
gnuplotは数値データからグラフを生成するツールである。LaTeXと組み合わせることで、論文やレポートにグラフを挿入できる。
基本的な使い方
# gnuplotの起動 gnuplot # 関数のプロット plot sin(x) # データファイルからのプロット plot "data.txt" with lines # EPSファイルとして保存 set terminal postscript eps set output "graph.eps" replot
コンパイルとプレビュー
コンパイル方法
platex document.tex # TeXファイルのコンパイル
プレビュー
xdvi document.dvi # プレビューの表示
PDF生成
dvipdfmx document.dvi # PDFファイルの生成
応用テクニック
2段組みの設定
文書クラスのオプションとしてtwocolumnを指定する。
\documentclass[twocolumn]{jarticle}
目次の生成
本文中の任意の位置に以下のコマンドを記述することで、目次が自動生成される。
\tableofcontents
相互参照
セクションや図表にラベルを付けることで、文書内の相互参照が可能になる。
\label{sec:introduction}  % ラベルの設定
\ref{sec:introduction}    % 参照
トラブルシューティング
- コンパイルエラーが発生した場合は、括弧やコマンドの記述を確認する
 - 図表が意図した位置に配置されない場合は、配置オプション([h]、[t]、[b]等)を調整する
 - 文字化けが発生した場合は、文書クラスとエンコーディングを確認する
 
便利なリソース
- TeXユーザーグループ:https://tex.stackexchange.com
 - CTAN(包括的なTeXアーカイブ):https://ctan.org
 - 日本語TeXユーザー会:https://texjp.org